大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和24新(れ)368 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人岡崎基の上告趣意について。

然し乍ら、憲法第三八条第三項刑訴第三一九条第二項にいわゆる不利益な証拠と

は、被告人に対する公訴犯罪事実を認定するのに役立ち得る証拠をいうのである。

そうして又自白を補強すべき証拠は、必ずしも自白にかゝる犯罪組成事実の全部に

亘つて、もれなくこれを裏付けするものでなければならぬものではなく、自白にか

ゝる事実の真実性を保障し得るものであれば足るのである。ところで第一審判決は、

被告人の同公判廷の自白と、これを補強する証拠として所論のAの検事に対する供

述調書並にBのAに対する診断書とを綜合して、被告人に対する本件犯罪事実を認

定しているのであつて、右各補強証拠に依れば、Aが昭和二四年四月一九日午後七

時頃何人かに依つて、判示の暴行並に傷害を蒙つた事実と、同日同人に第一審判決

摘示の部位程度の創傷の存した事実が認められるのである。してみれば、右各補強

証拠は被告人に不利益な証拠であるのは勿論、被告人の自白が架空の事実に関する

ものでないことを裏付けするに足るものであつて、被告人の自白の補強証拠として

は十分である。

以上の次第であつて、第一審判決は被告人の同公判廷の自白のみを以て被告人に

対する公訴犯罪事実を認定しているのではない。原判決もこの趣旨において第一審

判決を維持したものであることは、原判決が、Aの検事に対する供述調書と医師B

のAに対する診断書とは、「孰れも被告人が暴行を為した事実を証明し得る有力な

資料であることを肯認し得られる」と判示していること自体によつて明らかである。

それ故原判決には所論のような違法はなく、論旨は理由がない。

以上の理由により刑訴第四〇八条により主文の通り判決する。

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この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

昭和二五年三月二八日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

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